イランは、ペルシア帝国として知られてきた国ですが、１９３５年にイラン王国に改称しました。
イラン暦は、預言者ムハンマドが他の部族からの迫害を避けてメディナという町に移り住んだ年である、西暦６２２年を紀元としています。
ただし、西暦とは元旦が異なるので単純には変換できません。
１９７６年に、当時の国王パーレビ(Shah Mohammad Reza Pahlavi)が、建国２５００年を記念してそれまで使用されていたイラン暦を廃止して、ペルシャの建国者でメソポタミアを統一した偉人として知られているキュロス(Cyrus)二世の誕生日(紀元前５２９年)を国の紀元と定めました。
しかし、１９７９年のイラン革命によって元のイラン暦に戻されたために、わずか３〜４年の短期間でしか発行されていません。
通貨単位はイラン・レアルで、通常はRlsと略記されます。
コインは、500Rls、250Rls、100Rls、 50Rls、10Rls、5Rlsが発行されていますが、通常はレアルではなくてトマーン(Toman)という単位で呼びます。
ちなみに、１トマーンは１０レアルのことです。
額面のペルシャ数字は、インド数字やアラビア数字と同じくデーヴァナーカリー系の文字ですが、微妙に異なります。
イラン暦１３７９年に発行された２５０レアルはきれいなバイメタルなのですが、イラン暦１３８３年に新しいシリーズの通貨へと切り替わった後の２５０レアルの素材は洋銀(Cu-Ni-Zn)に変わりました。正式な事情は不明ですが、インフレのために硬貨の製造コストを下げる必要でもあったのでしょうか。
１００００レアル表面の独立峰の名前はダマヴァンドと言い、標高５６７１ｍの旧火山です。イランと言えば平坦な砂漠をイメージしがちですが、富士山のようにきれいな山が有るんですね。
１００レアル裏面の人物は、Ayatollah Modarresという氏名だけが解りましたが、詳細は不明です。１００００レアルの裏面は、偉大なる指導者ホメイニ氏(
Khomeini)ですね。
２５０レアル裏面のポムグラニット（pomegranate blossom）はザクロのことで、イランやインド北部、サウジアラビアなどが原産地です。ザクロはペルシャ絨毯のデザインにも用いられていますね。
１００レアル裏面のイマームレザー廟は、シーア派・十二イマーム派の第8代イマーム（指導者）の霊をまつる場所です。
