１ Korunaは、1960年に発足したチェコスロバキア社会主義共和国によって1967年に発行されていますが、その当時のチェコスロバキアはプラハの春と呼ばれる改革運動が興り、自由化に進みつつ在りました。しかし、1968年の8月に、ソ連軍（ワルシャワ条約機構軍）が突然に侵攻し、全土が占領下に置かれてしまいました。その後に、ビロード革命がおこり共産党政権は崩壊しました。
1980年に発行された２ KCSの意匠は占領国であるソ連の意向が強く押し出されたもので、ソ連国旗と同じく槌と鎌と五芒星が描かれています。
交差した槌と鎌はそれぞれ労働者のシンボルと農民のシンボルであり労働者と農民の団結を意味し、五芒星は五大陸の労働者の団結を意味しています。
同じ２ ＫＣＳでも1991年に発行されたもののデザインはソ連のシンボルの部分が何らかの植物のデザインに変更されていますね。
ソ連の崩壊は1991年末ですが、この時点ですでにソ連の影響力が弱まっていることを示唆するものでしょうか。
1990年４月に、国名がチェコスロバキア社会主義共和国（”Czechoslovak Socialist Republic＝CSSR）からチェコスロバキア連邦共和国（Czechand
Slovak Federal Republic＝CSFR）に変更されました。
そのチェコスロバキア連邦共和国が、チェコ共和国とスロバキアに分離したのは1993年のことですから、ＣＳＦＲのイニシアルが入ったコインはわずか３年程度しか流通しなかったことに成ります。
わずかの期間にめまぐるしく変貌する国家。これらのコインが、そんなチェコスロバキアの人々の手から手へ渡り歩いていたのですね。
